こんにちは、いつも「かつコード」のサイトをご覧いただきまして、ありがとうございます。
毎週金曜日にブログとしてリポートをお伝えしております。
今回は、AIでメールを書くことについて解説します。
AIに書かせたメールが、なぜか「他人行儀」
「返信メールをAIに書かせてみたけど、なんだかよそよそしい」
「丁寧すぎて、逆に冷たい印象になってしまった」
そんな経験をした方は多いのではないでしょうか。
実はこの違和感の原因は、AIの性能ではなく、指示の出し方にあります。
AI添削・作成の品質は、ツールの性能よりも「プロンプト設計」で決まるとされており、指示が曖昧なままでは、どれだけ優秀なAIでも当たり障りのない文章しか作れません。
この記事では、「トーン」を指定するだけで返信の質が大きく変わることを、実際の指示文の比較(Before/After)で確認していきます。
かつコードが問い合わせ対応で実際に使っている感覚も併せて紹介します。
AIメール作成の基礎知識
AIにメールを書かせる際、多くの人は「内容」だけを指示して、「トーン」を指示し忘れています。
トーン(口調・文体の調子)とは何か
トーン(口調・文体の調子。相手との関係性や場面によって使い分けるべき言葉遣いの雰囲気。
例:フォーマル、カジュアル、事務的、親しみやすい)とは、文章の内容そのものではなく、「どんな空気感で伝えるか」を指す言葉です。
同じ「お断りします」という内容でも、
- 事務的なトーン:「対応いたしかねます」
- 親しみやすいトーン:「今回は難しいのですが、また機会があればぜひ」
と、伝わる印象はまったく異なります。AIは指示された内容は忠実に反映しますが、トーンを指定しなければ「無難で当たり障りのない」デフォルト設定で書いてしまうのです。
なぜトーン指定が抜け落ちやすいのか
私たちは人にメールを頼むとき、無意識に「相手との関係性」を踏まえて依頼しています。
しかし、AIに対しては「内容を書いて」とだけ伝えてしまいがちです。
これは、AIを「察してくれる部下」ではなく「文字通りにしか動かない新人」として扱う必要がある、という認識のズレが原因です。
Before/After:素の指示 vs トーン指定した指示
指示文にトーンの一言を加えるだけで、返信メールの印象は劇的に変わります。
比較:問い合わせへの返信メール
同じ状況(サービス内容についての問い合わせへの返信)で、指示文を変えた場合の違いを見てみましょう。
| 項目 | Before(素の指示) | After(トーン指定) |
|---|---|---|
| 指示文 | 「この問い合わせに返信するメールを書いて」 | 「この問い合わせに返信するメールを書いて。丁寧だけど堅すぎず、初めてのお客様にも親しみやすいトーンで」 |
| 出力の印象 | 定型文的で、どの会社から来たかわからないような無機質な文章 | 会話の延長のような自然さがありつつ、失礼のない丁寧さを保った文章 |
| 相手に与える印象 | 「テンプレートで返信された」と感じられるリスク | 「ちゃんと自分に向けて書いてくれた」という印象 |
トーン指定のコツ
トーンを指定する際は、以下の3点を伝えると精度が上がります。
- 相手との関係性: 初めての問い合わせか、既存のお客様か
- 感情のニュアンス: 「堅すぎず」「でも馴れ馴れしくなく」など、両端の言葉で幅を伝える
- 文字数・長さ: 「3〜4文で簡潔に」など、ボリューム感も指定する
トーン指定チェックリスト
メールの指示を出す前に、以下を確認してみてください。
- 相手が「初めて」か「既知」かを伝えたか
- フォーマル・カジュアルの度合いを言葉で指定したか
- 断り・お詫びなど、感情が絡む内容の場合はニュアンスを添えたか
- 文字数や長さの目安を伝えたか
- 自社らしい言い回し(一人称・語尾など)の例を1つ添えたか
かつコードでの問い合わせ返信
トーン指定は「毎回一から考える」のではなく、自社の「型」として固定してしまうと、さらに時短効果が高まります。
実際の問い合わせ対応での使い方
かつコードでは、Webサイトからの問い合わせに返信する際、「丁寧だが堅すぎず、初めてご連絡いただいた方にも親しみやすいトーンで」という指示を、毎回のプロンプトの冒頭に固定して使っています。
これにより、担当者が変わっても返信の温度感が揃い、「誰が書いたかわからないほど無機質な返信」を防げるようになりました。
使ってみて感じたこと
- トーンを固定してからは、初稿の手直しにかかる時間がさらに短くなった
- ただし、金額や納期など「事実に関わる部分」は必ず人間が確認してから送信している
- お詫びやクレーム対応など、感情的な配慮が特に必要な場面では、AIの初稿をベースにしつつ、文言をより慎重に選び直している
AIに任せて良いのは「文章の型」までで、最終的な事実確認と送信判断は必ず人が行うという線引きは崩していません。
トーン指定だけでは解決しない場面
一方で、トーン指定だけでは対応しきれない場面もあります。
たとえば、クレームに近い問い合わせや、金額交渉が絡むデリケートなやり取りでは、トーンを整えるだけでなく、「相手が何を不安に感じているか」を先に言語化してからメール文を依頼する必要があります。
具体的には、「この問い合わせの相手が抱えている不安を先に3つ挙げてから、それに答える形で返信文を書いて」
という2段階の指示にすると、単なるトーン調整以上に、相手の心情に寄り添った文章になります。
トーン指定は基本形として押さえつつ、状況に応じて指示の粒度を上げていく、という考え方が実務では役立ちます。
また、社内メールと社外メールでもトーンの考え方は変わります。社内向けであれば「簡潔で結論から」、社外向けであれば「背景説明を丁寧に」といった具合に、宛先の種類ごとにトーンのテンプレートを持っておくと、毎回一から考える手間が省けます。
慣れないうちは、送信前に「このトーンで、この相手に送って違和感がないか」を一度声に出して読んでみることをおすすめします。文章として整っていても、声に出すと不自然さに気づきやすくなります。
まとめ
AIでメールを書く際、内容だけを指示するのではなく「トーン」を言葉にして伝えることで、返信の品質は大きく変わります。
特に非エンジニアの経営者・個人事業主にとっては、この一言を加える習慣が、日々のメール対応の質と速度の両方を底上げしてくれます。
今日からできる3つのアクション
- 次にAIでメールを書かせる際、「トーン」を一言添えて指示してみる
- 自社らしいトーンの指示文を1つ「定型プロンプト」として保存しておく
- 上記の「トーン指定チェックリスト」で、普段の指示に何が抜けているか確認する