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「儲けない」を設計する — NARA NEXT開発ログ⑤

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こんにちは、かつコードです。

NARA NEXTの収益化方針を一言で表すと、「今は¥0」です。しかし、これは「一生無料でやる」という意味ではありません。今回は、この収益化の考え方がどう固まっていったかをお伝えします。

Phase Aは意図的に「収益ゼロ」にする

結論:リリース直後のPhase Aでは広告も設置せず、店舗からもお金を取りません。信頼構築を最優先し、収益は後回しにする設計です。

広告を主軸にしなかった理由

この規模のニッチサイトでは、広告収入(バナー広告等)は大きな金額にはなりにくく、何より「信頼できる情報源である」という差別化とも相性が良くありません。広告だらけのページに旅行者が価値を感じるとは考えにくく、最初からこの選択肢は外しました。

フェーズごとの収益源

収益源は、フェーズを分けて段階的に組み込む計画にしています。

フェーズ 収益源 備考
Phase A なし(¥0) 発信と信頼構築に専念。広告も設置しない
Phase B アフィリエイト・送客手数料 既存の予約プラットフォームへのリンクにトラッキングパラメータを付けるだけなので開発コストはほぼゼロ
Phase B 店舗の成果報酬プラン 固定費ではなく、予約手数料等の成果報酬型
Phase C 奈良県・観光協会との連携 実績を積んだ先の話

コストの面でも、サーバー代(月$12前後)とドメイン代(年数千円)が実質的なランニングコストで、黒字化のハードル自体はもともと低い設計になっています。

店舗に「無料掲載」を本気でやる理由

結論:店舗への営業は「月額いくらで掲載しませんか」ではなく、「基本掲載は無料です」から始めます。この心理的ハードルの低さが、参加のしやすさを生みます。

「載せませんか、月額5,000円です」の壁

奈良の小さなお店に営業する場面を想像すると、分かりやすい壁があります。「外国人向けサイトを作りました。月額5,000円です」と言われれば、多くの店主は「今はちょっと……」となるでしょう。物価高・人件費・原材料費を考えれば、月額数千円でも十分に心理的な壁になります。

一方で、「無料で掲載します。外国人のお客様向けに多言語で紹介します。費用はかかりません」であれば、「それなら載せてください」となりやすい。ここが、今回のビジネスモデルの起点になっています。

無料の範囲を、あえて広くする

無料の範囲を中途半端にすると、「結局は営業される前段階」という印象を与えてしまいます。そこでNARA NEXTでは、店舗掲載・多言語紹介・Googleマップ連携・写真掲載といった基本機能を、はっきりと無料の範囲として設計しています。「なんで無料なの?」と思われるくらいがちょうどいい、というのが最初の壁打ちで出てきた発想で、この考え方をそのまま採用しました。

そして、無料と有料の境界線は「参加は無料、成果を増やす機能は有料」という基準で引いています。基本掲載・多言語紹介・地図連携は無料、クーポン配信・特集掲載・優先表示・詳細なアクセス分析・予約機能といった、成果を伸ばすための機能は将来的な有料プランの領域として切り分けています。

この構造が、かつコードの本業とも自然につながる

結論:NARA NEXT自体の収益化を急がず、「奈良の事業者と信頼関係を作り、Web制作・システム開発への自然なリードを生む装置」として位置づけています。

新しいビジネスモデルを発明していない

ここが、この収益化方針の中でも特に気に入っている部分です。NARA NEXTに無料掲載した店舗が、外国人客の増加を実感し、「もっとちゃんとした多言語サイトが欲しい」というニーズを自然に持ち始めたとき、そこで初めてかつコードのWeb制作サービスを案内します。

これは、いきなり営業をかけるのではなく、無料掲載で信頼を得たあとの自然な流れとして位置づけたものです。新しいビジネスモデルを一から発明する必要がなく、すでに持っている技術・営業リソースをそのまま活用できる点が、この設計の強みです。

「利益を目的にしない」という表現の精度を上げる

当初は「利益を得ようとしない」という言い方をしていましたが、これは少し不正確です。継続するにはサーバー代も開発費も、翻訳や営業、運営者自身の時間もかかります。そこで、次のような循環として整理し直しました。

奈良のためになることをする → その活動によって価値が生まれる → 価値を受け取った人から適正な対価をいただく → その利益をさらに奈良のサービスへ再投資する

「儲けない」のではなく、「利益を目的にしない」。この言葉の違いは小さく見えて、事業として続けていくためにはとても重要な違いだと感じています。

まとめ

NARA NEXTの収益化方針は、Phase Aでは収益をあえてゼロにし、店舗への無料掲載を本気で広く設計するというものです。旅行者には無料でルート・情報を提供し、店舗にも無料で参加してもらう。その先で生まれる信頼関係の延長線上に、送客手数料や自社サービスへの自然なリードといった収益が生まれる——という順番を大切にしています。利益を目的にしないことと、利益を得ないことは違う。この線引きを、今後も意識して運営していきます。

次回は、リリース直前に取り組んだ「コンテンツの一気拡充」の話——奈良市のスポット数を14件から49件まで増やした裏側をお伝えします。

今日からできる3つのアクション

  • 自分のサービスで「無料の範囲」と「有料の範囲」の境界線を、「参加のしやすさ」と「成果を伸ばす機能」という基準で見直してみる
  • 新しい収益源を作る前に、今すでに持っているリソース(既存事業・既存サービス)で自然につながる導線がないか考えてみる
  • 「利益を目的にしない」と「利益を得ない」、自分の事業の言葉遣いがどちらに近いか振り返ってみる

このシリーズの他の回もあわせてご覧ください(着想編、技術選定編、コンテンツ信頼性編、Media設計編、コンテンツ拡充編、まとめ編)。


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